私の治療院へ来る腰痛の患者様の中には、整形外科や他の治療院に行かれた事のある方も多くいます。
中には、こんな説明を受けた方もいたりします。
「年齢的に腰痛はしょうがないですね」
「歳相応に症状とうまく付き合っていくしかないね」
なんとなく納得してしまいがちですが、腰痛と年齢が比例していると言うデータは実はありません。
むしろ比例していないデータが出ています。
上の図に表したのが、そのデータですが、腰痛患者の多くは20代〜40代で、その後、年齢が高くなるにつれて低下しています。
10代と20代の患者数の差から考えて、成長過程で腰痛が起こると考えるのも矛盾がありますし、歳のせいで腰痛になると言う説明もまったく根拠がありません。
そんな説明を受けた方いませんか?
皆さん、「腰痛は歳のせい」だと、勘違いしないでくださいね。
皆さん、
ぎっくり腰(急性腰痛)の時どうしています?
今までの常識で考えると
「安静第一」
と思いがちですが、
実は急性腰痛は安静にしてはいけないんです!
1992年にMalmivaara A.et al によってこんな研究論文が発表されました。
急性腰痛患者186名を対象に、
2日間の安静臥床の人たちと、
ストレッチをしてもらう人たちと、
耐えられる範囲内で日常生活を続ける人たちに
無作為に割り付け、
その後の経過を追跡調査しました。
その結果、
3週後と12週後のどの時点においても、
もっとも回復が早かったのは日常生活を続けた人たちで、
もっとも回復が遅かったのは安静臥床にしていた人たちでした。
「安静にして下さい」と言うのは、もう古い常識。
急性腰痛は安静にしてはダメです!!
新常識は、なるべく日常生活を続けるように心がけましょう!
腰痛を職業病と思っていませんか?
実は、腰に負担がかかる職業だから腰痛になるとは限りません。
1997年、Savage RAによって学術誌「Spine」にこんな研究論文が発表されました。
研究内容は、職業と腰痛の関連を調べたもので、5つの異なる職種(自動車工場、救急隊員、事務職、病院清掃業、ビール工場)の149名を対象に、1年間にわたって腰部をMRIで繰り返し撮影し、画像所見と腰痛との関連を調査したものでした。
その結果、椎間板異常と腰痛や職種との関連性はなく、調査期間中に13名が腰痛を発症したもののMRI所見には変化が見られなかったそうです。
職業と腰痛との関連性はなく、さらに、椎間板異常と腰痛との関連もないと言う結論が出されました。
職業柄、腰痛になったと考える方は多くいるでしょうが、山口義臣・山本三希の研究によると、実際には違ったのです。
上図の職業別の腰痛発症率を見てみますと、肉体労働は関係なく、驚くことに、無職の方が最も腰痛を発症しています。
この謎を解くカギは、近年ヨーロッパで出された腰痛ガイドラインにあります。 それは、心理社会学的因子、いわゆるストレスです。
ストレスと言うキーワードで、上図を見ると、納得いきませんか?
私たちの所に、相談に来られる腰痛の方に、「何かきっかけはありましたか?」と尋ねますと・・・
「特にこれと言った動作を取った覚えはないです。」
「ちょっと洗面台でかがんだ程度で・・」
とお答え頂く方が多くいます。
上図、山口義臣・山本三希雄の研究によると、実は腰痛の半分以上の方は、きっかけの動作は不明なのです。
動作は、腰痛を起こす一つの引き金になることはありますが、本質的原因は別にあるようです。
実際、臨床現場で感じるのは、心理社会的因子(ストレス)と腰痛の関係性。
大抵、腰痛になる前段階で仕事のストレス等で、無意識に筋が過緊張を起こしていたりするんですよね。